電線は導体である銅線の周囲を絶縁物にて被覆したものであり、これをさらにシースで巻いた二重の構造としたものがケーブルであり、電力の引き込み線や建物内の電気配線など幅広く採用されています。
電気設備の仕様と施工について定めてある技術基準では、屋外露出で配線することは認められていますが、常時風雨や紫外線にさらされているため被覆部の劣化が生じ、絶縁不良や短絡や地絡を起こすことがあります。近年、EM仕様を表記したケーブルが発売されています。これは絶縁物や被覆の材料にハロゲン化物が含まれないことが特徴であって、廃棄した後の燃焼時に塩素系の有害ガスの発生がありません。
しかしこの仕様の配線は紫外線に弱いことも特徴で、従来のものと比較して屋外での使用は耐候性に問題があり、導体が露出したり短絡や絶縁不良が発生する心配があります。屋内であっても、蛍光灯から出た紫外線で屋外と同様な劣化が起こるので注意が必要です。エコケーブルとも呼ばれるEM仕様の製品は採用が増えていますが、紫外線などによる劣化の対策は必須です。
露出ではなくて電線管に入線したり、保護テープを巻くことが対策の具体例です。耐紫外線仕様のエコケーブルも販売されていますので、それらを採用することもできます。高圧受電である自家用電気工作物は定期点検が義務づけられているものの、一般的な低圧受電ではこうした点検が行われないことがほとんどです。配線の劣化によって短絡して火災にならないようにするためには布設状況の確認は必要であり、高所ならば専門業者による点検が推奨されます。点検は電気機器本体のみが対象と思われがちですが、機器同様にケーブルも定期点検や必要な修理が必要であります。